海上幕僚長ご挨拶
- 海上幕僚長 海將 山村 浩
海上幕僚長の山村です。
- 海上幕僚長 海將 山村 浩
2021年がスタートし、早いもので1か月がたとうとしています。昨年から感染拡大が続く新型コロナウイルス感染癥は、いまだ収束の気配が見えません。1月8日には、緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルス感染癥との戦いは一層厳しいものとなっています。今この瞬間も最前線で闘っておられます醫療従事者の皆様に対して、改めて敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます
海上自衛隊は、情勢の変化に適合しつつ、國民の皆様の安心安全のため、24時間365日、隊員一丸となり、日本周辺海域の警戒監視、災害派遣などのさまざまな任務に本年も引き続き邁進してまいります。
さて、昨年1年を振り返ると、日本関係船舶の安全を確保するための情報収集行動を、1月から新たに開始し、これ以降、以前から従事している海賊対処行動と併せて、2隻の護衛艦(搭載ヘリコプターを含む。)と2機の固定翼哨戒機が、中東?ソマリア沖?アデン灣において常時活動を継続してまいりました。
また、コロナ禍の影響により多くの制約がある中、遠洋練習航海部隊を派遣し北極圏を航行しました。これにより海上自衛隊は、その歴史において、7つの海すべてので航行を達成しました。さらに、砕氷艦「しらせ」は、南極観測支援活動において初めて、往路及び復路でオーストラリアを経由せずに活動を実施しており、今年2月下旬には、任務を終了し帰國の予定となっています。
これらの活動の結果として、海外での活動が最も多かった昨年9月には、北極圏、ハワイ、グアム、そしてインド洋方面と、4方面に同時に海上自衛隊の部隊が展開していました。中東?ソマリア沖?アデン灣方面における活動を加えると、一時的ではあるものの、約2800名もの海上自衛隊員が、コロナ禍においても日本國外において任務等の活動に従事していたこととなります。
また、新しい裝備品に目を向けると、新型潛水艦「たいげい」と、新しいタイプの護衛艦「くまの」が、10月に相次いで進水しました。そして、10月1日には、これまで整備を進めてきた海上作戦センターが橫須賀の船越地區に開所し、運用を開始しました。
以上のように、コロナ禍にあっても、海上自衛隊は「変化へ適合」しつつ、活動を継続してきました。昨年は忍耐の年になったことと思いますが、本年は、世界がコロナ禍を克服して、國民の皆様に再び、我々海上自衛隊の姿を直接ご覧いただけるような年になるように祈っております。そして、より多くの人に海上自衛隊に興味を持っていただくとともに、たくさんの若者が、將來海上自衛隊で私たちとともに働くことを希望してくれれば幸いです。
海上自衛隊は、コロナ禍にあっても、引き続き、冬の荒波を蹴立てて前進してまいります。
第34代 海上幕僚長 海將 山村 浩